柳原三佳のブログ

交通事故・死因究明問題などを追及する柳原三佳からの情報発信。あるときはジャーナリスト、あるときはノンフィクション作家、でも、1日の大半はお料理と芝刈りが大好きな「主婦」してま~す!

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新たな解剖制度に向けた一歩!

 かねてから取材を続けてきた「死因究明制度」の問題ですが、本日、警察庁の研究会が、新たな解剖制度の創設などを柱とした最終報告書を、国家公安委員長に提出しました。
 多くの遺族の声を聞き、さらに千葉大の岩瀬博太郎教授(法医学)の告発をはじめて記事にしたのは、2004年の『週刊文春』誌上でした。あれから7年、本当にいろいろなことがありましたが、まさに一歩、一歩前進してきたという感じです。
 本当の改革はこれからですが、新しい制度の構築に期待したいと思います。
 まずは、本日のニュースをご覧ください。

■法医解剖:警察庁研究会が創設提言 犯罪死見逃し防止で2011年4月28日 10時26分 更新:4月28日 14時25分

 死因究明制度の在り方を検討してきた警察庁の研究会は28日、新たな解剖制度として「法医解剖」を創設することなどを柱とする最終報告をまとめ、中野寛成国家公安委員長に提出した。現行の司法解剖や行政解剖とは別に、法医解剖を導入することにより、犯罪死の見逃しを防ぐ狙いがある。警察庁は厚生労働省や文部科学省と連携し、必要な法整備を図る方針。

 法医解剖の対象となるのは、犯罪による死亡かどうかが不明な死体で、警察署長が実施の要否を判断する。司法解剖に属さないため裁判官の許可状は必要としない。近親者が容疑者であるケースを視野に入れ、遺族の承諾も不要とした。

 警察が取り扱う死体のうち解剖が行われる割合(解剖率)は現在約11%だが、研究会は法医解剖の導入で解剖率を高めることを求めており、「5年程度で20%に引き上げ、将来的には50%を目指すことが望ましい」としている。

 また法医解剖の受け皿として、国の解剖機関「法医学研究所」を都道府県ごとに順次、設立することも掲げた。実現までの間は大学の法医学教室などを拠点にする。現在約170人にとどまる解剖医を計画的に増やしていくことも提言した。

 司法解剖は、犯罪性が明白か、その疑いのある死体が対象。犯罪性が認められず、死因が明らかでない場合は伝染病のまん延防止など公衆衛生を目的とする行政解剖の対象となる。しかし、監察医と呼ばれる専門医を置く一部地域を除き、行政解剖の実施は少ないのが実態だ。研究会は「犯罪死の見逃しが起こる可能性が否定できない」と指摘し、新たな解剖制度を検討していた。

 研究会には法医、刑法学者、警察庁局長らが委員として参加。昨年1月の設置以来、14回の会合を開いた。【鮎川耕史】

 【ことば】司法解剖と行政解剖 司法解剖は刑事訴訟法に基づき、犯罪死と断定されたり、犯罪死が疑われる死体に行う解剖。裁判所の鑑定処分許可状を得て捜査機関の嘱託を受けた医師が行う。行政解剖は、犯罪死を疑わせる状況はみられないが、外見から死因が特定できない死体について、検疫法や死体解剖保存法などに基づき行う解剖。原則的に遺族の承諾が必要で、大学の法医学教室などで行われる。ただし、死体解剖保存法に基づき監察医(東京23区や横浜市、名古屋市、大阪市などで導入)の下で行われる場合は遺族の同意は必要ない。

 ◇法医解剖、現行制度の「穴」埋める
 警察庁の研究会が、犯罪死の見逃しを防ぐ目的で、創設を提言した法医解剖制度は、現行の解剖制度が抱える「穴」を埋める解決策といえる。だが、解剖医の増員や解剖機関の新設を含め、提言の全容を実現するには相当な費用もかかる。長期的な指針と位置づけ、段階的に具体化していくことが必要となる。

 警察が取り扱う死体は、警察署の捜査員が一次的な分類をする。事件性が疑われるとみれば、死因捜査を専門とする検視官の出動を警察本部に要請。司法解剖を含めた犯罪捜査の道筋ができる。

 一方、事件性が認められない場合は通常、検視官は出動しない。ここに犯罪死見逃しの可能性が潜む。捜査員は必ずしも死体取り扱いの経験が豊富でなく、死体を検案する医師も多くは地元の開業医で、死因判断が専門ではないからだ。

 事件性はないと判断されたものの、外見から死因が特定できない死体に行われる行政解剖には、犯罪死の見逃しを最後の段階で食い止める機能が期待されている。しかし本来の目的が「公衆衛生」である上、原則的に遺族の承諾が必要であるため捜査側には活用しづらい面がある。犯罪捜査と行政解剖の間の溝が死因究明制度の弱点になっており、改善が研究会の課題だった。

 死因究明制度見直しの機運は、当初「事件性なし」と判断されて司法解剖が行われなかった大相撲時津風部屋の力士暴行死事件(07年)で高まった。警察庁によると、98年以降に発覚した犯罪死の見逃し事例は43件ある。それをゼロに近づけるためには、制度の改善だけでなく、研修を充実させるなどして死体と直面する一線の捜査員の能力を向上させることも求められる。【鮎川耕史】
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  1. 2011/04/28(木) 16:58:51|
  2. 検視・司法解剖問題

白毫寺の桜と我が家の庭

 本当に気持ちのよいお天気です。
 こんな日は、ず~っと庭に出て、草抜きをしていたい気分です。
 桜も満開ですね! 今年はずいぶん長い間、いろいろな場所で楽しみました。
 
 先週は、奈良の白毫寺にふらりと立ち寄ってきました。
 古い石段の途中にある山門のわきに、満開の桜の木が一本ありました。
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 これは、我が家の庭です。
 私のコレクションである骨董便器が、素敵な花器に変身です!
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 二宮金次郎さんも、パンジーやムスカリやチューリップの開花を楽しみにしていました(笑)。
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 さてさて、今日はお知らせです。
 昨年出版した『巻子の言霊』(講談社)の中で、松尾さんご夫妻が使っておられた障害者用の会話補助機『レッツ・チャット』のニューモデルの展示会が、下記の日程で開かれます。
 会場には、『巻子の言霊』も置かれているそうです!

 そのほかにも、さまざまな福祉機器が、一挙に展示されるとのことですので、関心がおありの方はぜひのぞいてみてくださいね。
 
 
■4月14日(木)~16日(土)大阪 バリアフリー2011 パナソニック電工ブース内
  http://www.itp.gr.jp/bf/

■4月23日(土)~24日(日)東京 子どもの福祉用具展2011 パシフィックサプライ(株)ブース内
  http://www.kidsfesta.jp/

■5月20日(金)~22日(日)愛知 ウェルフェア名古屋2011 なごや福祉用具ブラザブース内
  http://www.nagoya-trade-expo.jp/welfare/
  1. 2011/04/14(木) 14:22:28|
  2. ミカの日記

『プレジデント』(2011.5.2号)

 今日も東日本で地震が連発していますね……。
 千葉でも、震度5弱をはじめとする地震が何度もあり、緊急地震速報が流れるたびに、庭へ駈け出しています。
 みなさまは大丈夫ですか?

 2階の仕事部屋にいると、いつ本棚が崩れてくるかわからないので、とっても怖くて、原稿書きにも集中できません。
 でも、被災地の方々の大変さを思えば、こんな弱音を吐いてはいられませんね。
 
 さて、今週発売の『プレジデント』(2011.5.2号)のニュースコーナーに、記事を執筆しました。
 タイトルは、

<身元不明の遺体多数、 ”歯”のデータベース整備を>

 これは、深刻な問題です。
 日本歯科法医学会では、以前からこの問題の重要性を訴えておられました。
 大規模災害が相次ぐこの国では、早急に検討されなければならない課題だと思います。
  1. 2011/04/12(火) 18:33:37|
  2. ミカの日記

被害者から寄せられた事故レポート

 今、大阪にいます。
 さまざまな用事を終えて、そろそろ千葉に戻るところです。
 関西地方は余震もなく、計画停電や節電もなく、平常の暮らしがありました。

 さて、愛知県にお住まいの事故被害者の方から、下記の事故レポートが寄せられましたので、ブログにアップいたします。
 先日、判決文を見せていただいたのですが、あまりにもひどい内容に驚きました。
 ぜひ読んでみてください。




柳原三佳さまへ         豊田市 土谷亮吉 58歳

 9.11 3.11突然災難はわが身に襲ってくるものです、私も2009.4.11三河山間部をツーリング中左カーブにおいて路外駐車帯より突然進入した11トンダンプに進路をふさがれ回避するも残念ながらタイクラッシュの憂き目に遭いました。
 事故の詳細は、50~60キロで走行中左カーブ中間に路側帯出口20メートル手前で 出てきたダンプを発見リアブレーキをかかけながら左に寄りつつ回避先を探すもダンプの出てきた左脇しかなく出来る事ならすれ違いたいと思うが、ダンプも走行を続けた為衝突もやむなしと観念し出来るだけダメージの少ないようバイクの左サイドバックより徐々に接蝕するように衝突させた (バイクはBMWK750SS)処がバイクはダンプ側面に張り付いた状態で数メーター引きずられ何らかのショックで私は路面に左臀部より路面に叩きつけられあえなく重症患者と変身 (骨盤、大腿骨、脊、仙骨、恥骨)
早い話が腰回りを砕いた。意識はハッキリしていたので神経回りの確認だけして(今後も生きろということね?)神様!  ふと見るとダンプの横っぱらが見えました。 その後救急車が来て事故の説明だけしたら「ER」のベットまで直行。   ダンプの運転手は、私がICUにいる時1度見舞いに来たらしい (生死の確認?) 

 しかしその後がいけない、現場検証に来た警察官にダンプの運転手はバイクが転倒して滑りながらセンターラインを越えてぶつかってきたと証言、(実際の事故現場より30m-トルほど手前地点)        警察官も差もありなんと現場検証をして引き上げる。 処が他のベテラン警察官が資料を見て路面に擦過痕が有るので後日現場を確認、4.16にダンプの運転手を4トンダンプ共々現場に呼び出し
路面の擦過痕からして本当の衝突現場はここで有ろうと説明(実債より20メートルほど手前)それであらば過失はバイクに有ると言う。   運転手もそれに乗っかり再度現場検証の始まり
 そんな事で私の知らない間に現場調書が3通出来上がっていて(1当日証言 2擦過痕ガウジーコン詳細図 3後日検証分)そののち6月、7月に担当警察官が病院まで事情聴取に来て私の話を聞き「それは、土谷さんがベットの上で考えた事故状況である。」と云って帰る始末。
しかし悪いことばかりでは無く、救急隊員の適切な判断、そして豊田記念病院の酒井医師、親切でかわいいナース、リハビリのPT、4か月でなんとかあるける様になりました 。何せ3回は死んでも不思議でない状況を乗り越えたのも皆さんのおかげです。  もう少し居たかったんだけどなー   その後リハビリの三九朗病院にて2カ月、杖で歩けるまでに成り退院,通院1ねん まだ運は有るかな?

 退院時に事故現場で現場検証、当初の説明をしそれに沿った調書を作るも、警察官はよほどの証拠がない限り土谷さんの証言は通らないと、ノタマウ。これって民事介入?               しかしこれからが大変、入院中に相手が物損で簡易裁判所に訴訟を起こす、当方の保険会社(あいおい損保)も弁護士を立てて異議申し立て。そのうち12月に岡崎の検察庁より事情聴取の連絡
が有り12日に検察庁へ新たに路側帯進入路に有ったタイヤ痕の写真を持って当初の通りの説明をするが検察官曰く擦過痕、ガウジー痕が有るから仕事熱心な警察官の言う通りではないかな?
結局12月28日に不起訴決定通知が来ました。

 年が明け弁護士に調書を取ってもらうと前記の通り4通の調書が出てきてこの段階で初めて事故の実態を知るに至り担当弁護士に相談するも、勝ち目はないの一言(誰か弁護士を見付けた方がいいのではと)やんわり。。。。。それで無料法律相談に行きなんとか成るのでは,と言う弁護士に出会い改めて相談し保険が社の了解が取れればやりましょうとのこと。
処が保険会社は、変えるのは構わないが着手金は当社規定額しか払えない後はあなたが払って下さいと言う始末。 私も弁護士も散々厭味を言われ(保険の弁護士特約)てなに?新しい弁護士も他の保険会社の顧問をやっているので  アイオイ さんはしぶいねー  結局30万のうち20万と相談料1万円は持ち出し。 会社思いの担当 H 君 

 新しい村井弁護士は何が良かったかと言うと落ち込んだ私に戦う勇気をもたらしてくれた事だと思います、戦闘モードに成ればでっち上げた現場証言など絶対に穴が有ると3つの調書の分析を再開しあらん限りの理論武装で春からの本格的な闘いに備えました。 たとえばダンプの原寸を図りバイクとの損傷部位の整合性確認、 同じスケールのプラモデルを作成しそれに合わせた現地図の作成をする事で立体的なジオラマの写真撮影、そうして見えてくる事故の実態 それらを自動車工学の理論と結びつけ陳述書のおいて毎回新しい証拠を出しながら公判を続けて手まいりました。

 そして2,011 2月調停それでも過失割合土谷80でいかがと裁判官 すかさず相手は、控訴だと叫んだらしい。 それで3月24日判決が出ました。
争点は、私の言う調書④になり何キロかわからないがスピードを出し過ぎた土谷70  路側帯より本線へ侵入するに際しカーブミラーなどの確認不徹底で相手がわ30 
  又、路面に有った擦過痕等は、事故とは無関係との記載が有りました。   しかし裁判官の発想回路が私には理解できない?  やはり裁判員制度は、必要だわ!
弁護士あの裁判官だからここまで見てくれたと納得の体、なにしろだれもが見放した100:0の裁判でしたので、自賠責で保証を取るのを目的 で頑張ってましたから。控訴はしないようにと   
 保険屋も控訴なし、控訴するなら自分のお金でやって下さいタダシ相手が控訴すれば受けて立つとのこと。 ひよっとして私が先に裁判を起こそうとしたら反対したかも?

私もそこまでして物損を争う気もないので、アイオイの支払いが35万減るだけ あとは自賠責の判断と検察審査会の判断を見て人身障害裁判の準備をしようと思っています。 アイオイ金出すかな?
それにしても裁判と言う物は疲れますね、
 柳原さんに言わせると悲壮感の無い冤罪被害者らしいのですが、あまり匂せると本人も周りもつらくなりますので俺の仕事は 「リハビリと裁判だと言って笑っています。」
  1. 2011/04/07(木) 08:43:40|
  2. ミカの日記

法医学者の活躍

 今、大阪にいます。
 昨日、千葉から一人で車を運転して、無事到着しました。
 ちょうど名古屋のあたりで、緊急地震速報が車のラジオから流れ、ドキッとしました。

 走行距離は約600キロ。
 車を運転しながら、
『今回の津波被害は、この距離すべてに及んでいるのだな……』
 と、改めてその範囲の広さ、被害の甚大さを実感しました。

 今回、いち早く被災地に入り、検死を行われた法医学者のインタビューが、m3に掲載されていましたのでご紹介します。
 岩瀬博太郎教授は、『焼かれる前に語れ』(WAVE出版・2007年出版)で、共著させていただいた先生です。
 本の中でもいろいろな問題提起をしてくださっていますが、大規模災害が予測されている日本では、たくさんの対策が急がれています。
 


<m3の記事より>

3月11日の東日本大震災では、死亡者数が既に1万人を超えた(2011年3月29日現在)。未曾有の大災害では、復興支援の動きが活発化する一方、犠牲者の身元確認作業も続く。警察の行う死体見分の立ち会い(検案)のためにも、多数の医師が被災地に赴いている。日本法医学会の広報渉外担当理事で、千葉大学法医学教授の岩瀬博太郎氏に、検案の現状と見えてきた課題についてお聞きした(2011年3月29日にインタビュー)。


――震災以降、先生ご自身および日本法医学会として、どう動かれたのでしょうか。

 3月11日の午後6時半ごろには、警察庁から日本法医学会に、「支援要請があるかもしれない」との第一報が日本法医学会の中園一郎理事長などに入っていました。日本法医学会では、1995年の阪神・淡路大震災後、1997年に「大規模災害・事故時の支援体制に関する提言」をまとめています(同学会のホームページを参照)。これは、大規模災害などに備え、連絡体制や要請があった場合の人員派遣体制などをマニュアル化したもの。これに沿って動いたのは、今回が初めてだと思います。
 震災当日、私は大学におり、大学の建物も相当揺れ、スタッフの安否確認などに追われました。スタッフに一通り連絡が取れ、一段落したのが午後11時ごろ。その時点ではまだ状況が分からず、犠牲者が50人程度との報道でしたが、その頃、日本法医学会の青木康博庶務委員長と協議の上、夜中に、会員のメーリングリストを用い、「ボランティアを募ろうと考えております」というアナウンスを流しています。その後、日本法医学会に、理事長および庶務委員長を中心に、対策本部が設置され、各地区理事の下で協力が可能な会員(医師および歯科医)の名簿作りに着手し、関係機関の要請を受け、順次被災地に会員を派遣しています。
 3月15日には、警察庁に2010年に設置された検視指導室の呼びかけで、日本医師会、日本歯科医師会、日本法医学会が集まり、今後の検案体制について検討しています。それ以降はそれぞれ役割を整理し、動くようになっていますが、3月11日から15日までの間は、各団体が独自に被災地に入っていた状況だと思います。今は、医師の立場では、日本法医学会の会員、日本医師会の会員、各県の警察嘱託医という三者が、死体検案に携わっていると思われます。日本法医学会の会員は約1000人で、うち医師は100人強。被災地にはおよそ1週間程度ずつ行き、既に3、4交代している状態です。

 ――先生ご自身は被災地に行かれたのでしょうか。

 3月12日に、千葉県警の車で岩手県の陸前高田市に、私も含め当教室の5人のスタッフ、および日大の法歯学の先生、計6人のチームで向かいました。携帯電話は通じず、ガソリンもなく、警察の車で行く以外にはありませんでした。
 最初は手探りでした。阪神・淡路大震災では、一番の被害を受けた神戸市には監察医制度があり、監察医主体の死体検案もあったかと思いますが、それとは異なり、今回の大震災では、法的に言えば、警察官が行う死体見分(行政検視)に立ち会い、医師としての意見を述べることが求められます。そして行政検視に伴う検案の結果を基に、死体検案書を書くのが医師の役割です。
 警察官が衣服など持ち物検査をし、衣服を脱がして身体所見などをメモし、指紋を取り、写真を撮影する。その際、身元確認の際には手術痕などは重要なので、そうした所見を見逃さないように、医師側からもアドバイスする。また採血を行い、DNA鑑定に備えるというのが、私たち医師が実施したことでした
 とはいえ、法医の日々の業務は、解剖と諸検査実施による極力正確な死因判定が主ですから、現実にはほとんど検査などできない死体見分と検案でどこまで意見を言ったらいいのか手探りでしたし、また犠牲者はあまりに多く、どこまで詳しくやったらいいのかなどを模索しながらやりました。また法歯学の先生は、ポータブルのX線装置も持参されたのですが、停電で使えませんでしたので、歯科診察に基づくデンタルチャートの作成と、デジタルカメラによる歯牙の写真撮影をしていました。
 私が被災地にいた3日半の間に、私も含め、医師3人で、約120人の死体見分に立ち会いました。体育館で、卓球台をついたての代わりに立て、片方のスペースで死体見分と検案、歯科所見の採取を行い、もう片方のスペースをご遺体の安置に使うというケースもありました。家族を探しに来た被災者が号泣する声を聞くのは、さすがに辛かったです。
 また地域によっても違いますが、岩手県は広く、移動に時間がかかるという苦労もあります。今、日本法医学会から派遣されている他大学のスタッフは、盛岡から沿岸部まで、車で片道3時間の距離を往復する日々だそうです。私たちの場合は、岩手県の遠野に宿泊することができたので、片道1時間半でした。

 ――犠牲者の大半は水死だったとお聞きしています。

 確かに、指定された避難場所に逃げたのに、亡くなったような方には、大きな外傷がある犠牲者は少なかったので、ほとんどで溺死を疑いました。一方、屋外で発見されたご遺体は、大小様々な損傷があり、死因判定は困難でしたが、これまで検案を終えた犠牲者では、溺死の疑いとされた事例が8、9割を占めるのではないでしょうか。しかし、今後、瓦礫の除去などが進み、屋外で発見される遺体が増えてくれば、溺死、圧死、外傷性ショックなど、死因の割合は今後、変わってくると思います。

 ――検案に携わる医師は不足しているのか、あるいは十分なのでしょうか。

 今回は先ほどお話した警察庁の検視指導室が、死体見分および検案において主導的な役割を果たしていたと思います。犠牲者が多数に上ると予想されたことから、全国の県警に呼びかけ、少なくとも各都道府県の検視係1チームずつ派遣しているようです。検視をする警察官が、ご遺体の衣服を脱がせ、写真を撮影し、身体の外表などを見るのに、10、15分かかります。各都道府県警察の検視係1チームには、2人の検視のできる警察官がいますので、現地で、検視のできるチームが計約100チームできれば、1日最大で約3000人の犠牲者の死体見分が可能な体制です。
 今は、多数の犠牲者が死体見分場所に運ばれた初期は過ぎ、比較的落ち着きつつある段階にありますが、今後も作業は続きます。日によって作業量には波があり、多数の犠牲者が一度に運ばれてくることもあれば、1日数体の時もあると伺っております。しかし、家族を探しに来る被災者のことを考えると、検視・検案の場所を集約化することも難しいようです。日本法医学会としては、今後、検視・検案への協力をいかに継続していくかが一つの課題です。
 また報道によれば、今は、約7割のご遺体について、身元が判明しています。当初はあまりに犠牲者が多く、対応しきれないことから、死体見分を省力せざるを得ないのではないかという話も出ていたようですが、警察庁の検視指導室と各都道府県警察は本当によくやっていると思います。
 しかし、今後は、遺体の外見や持ち物からの身元確認は難しくなってくることが予想されます。死後の日数が経過すると、ご遺体が腐敗するのは避けられない。また現在は血液を採取できますが、死後日数が経過すると採取はできなくなる。爪、あるいは歯でDNA鑑定を行うことになります。

 ――今後も見分・検案が続くとのことですが、現時点で既に浮かび上がった将来に向けての課題などがあればお教えください。

 今回の大震災の件で言えば、歯科医院とともにカルテなどが津波で流されてしまい、歯型による照合ができないケースがあると予想されています。知り合いの法歯学の先生によると、レセプト情報が、中央にあるサーバに集約されていて、照合する仕組みを作れば、照合がある程度可能ではないかとのことです。
 また、今後、死亡統計の扱いをどうするかという問題もあります。溺死か、家屋の倒壊による圧死か、その区別がつきにくいご遺体もあり、その辺りの判断は人によってばらつきがある。
 さらに、今後についてですが、日本法医学会の立場から言えば、先ほども触れましたが、どこまで、どんな形で死体見分に協力すればいいのか、また今回のような大震災の際に、どの程度医師として死体を診察し、またその結果から、死体検案書をどのように記載すればいいのか。この辺りを整理し、事前に訓練などもしながら、死体見分における警察官と、検案における医師の役割分担の明確化などが必要でしょう。
 そもそも法医が不足しているという問題もあります。大学の中にも法医学教室がない、あるいはあっても医師が1人のケースもあります。そういうところでは、協力したくても協力できません。
 現在、警察庁の「犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会」では、死因究明制度のあり方を検討しています(『「暴走する警察」から「大人の警察」へ、医療者が働きかけを』を参照)。私もその委員ですが、事故・犯罪を想定した議論をしてきましたが、この研究会から提言が出された後には、今回のような大災害を念頭に置いた議論も求められるでしょう。

  1. 2011/04/04(月) 10:03:39|
  2. ミカの日記

プロフィール

柳原三佳

Author:柳原三佳
<ジャーナリスト・ノンフィクション作家>
交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演活動を行う。「週刊朝日」などに連載した告発ルポをきっかけに自賠責制度の大改定につながったことも。2004年からは死因究明問題の取材にも力を入れ、犯罪捜査の根幹に一石を投じてきた。著書に「家族のもとへ、あなたを帰す ~東日本大震災 歯科医師たちの身元究明」「遺品~あなたを失った代わりに」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」「交通事故被害者は二度泣かされる」「自動車保険の落とし穴」「死因究明~葬られた真実」「焼かれる前に語れ」「交通事故鑑定人」「示談交渉人裏ファイル」「裁判官を信じるな」など多数。」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」は、NHKでドキュメンタリードラマ化された。「実父を医療過誤で亡くし、自らも医療過誤被害を受けた経験があり、現在は医療問題にも精力的に取り組んでいる。千葉県在住。自宅の裏庭に、「古民家(長屋門)」を移築し、スローライフも楽しんでいる。
■柳原三佳のHP http://www.mika-y.com/

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