柳原三佳のブログ

交通事故・死因究明問題などを追及する柳原三佳からの情報発信。あるときはジャーナリスト、あるときはノンフィクション作家、でも、1日の大半はお料理と芝刈りが大好きな「主婦」してま~す!

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「焼かれる前に語れ」書評

 昨日の「ワイドスクランブル」(テレビ朝日・死因究明問題の特集)は、多くの方に見ていただき、たくさんの反響が返ってきています。
 冒頭では、「息子はパロマのガス器具による一酸化炭素中毒死ではなかったのか? なぜ司法解剖をして死因をはっきりさせてくれなかったのか」と、北海道のご遺族が訴えておられました。事故から19年が経過した今も、ご遺族の苦しみは続いているのです。
 そんな中、「北海道新聞」で、ノンフィクション作家の保阪正康氏が、「焼かれる前に語れ」の書評を書いてくださいました。
http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/new/2.html
 とっても嬉しいです。ありがとうございました!

■「焼かれる前に語れ」
(岩瀬博太郎・柳原三佳著  WAVE出版 一五七五円)
<略歴>いわせ・ひろたろう 1967年生まれ。千葉大大学院教授、解剖医。
やなぎはら・みか 1963年生まれ。ノンフィクション作家。

司法解剖の歪みを問う

 本書は、一司法解剖医が日々体験している現代社会の歪(ひず)みを正直につづった書である。ページをめくるたびに、本当にこんなことがあるのかとつぶやきたくなる事実が紹介されている。

 著者は千葉大大学院医学研究院の法医学教室教授である。その体験を女性ジャーナリストが詳細につづったわけだが、本書の随所に著者のナマの証言が出てくる。冒頭にしてから、「私は司法解剖を始める前、ご遺体に向かって手を合わせたことは一度もありません」との言がある。遺体から真の死因をさぐりだすことが自分たちの仕事との自負があるからだという。さらに、「日本人は、生きている間は先進医療を受けられます。しかし、一旦(いったん)心臓が止まると、江戸時代へタイムスリップしてしまうのです」との言もある。正確な死因をさぐりあてるシステムが日本にはないという指摘である。

 日本では毎年約百万人が死亡する。病院外で死亡し死因が明確でない死者は「十五万人程」だそうだ。この変死体を検視する刑事調査官は全国の都道府県あわせても百三十七人しかいない。彼らによって犯罪性が疑われると、裁判官の令状を得て大学の解剖教室に死体が送られてきて、それで司法解剖医によってメスがいれられる。著者は、十五万体を百三十七人で検視するのは無理なこと、司法解剖自体も低予算で短時間で行われること、そのために正確な死因も判明せぬままに遺体が焼かれていること、さらに司法解剖医が判断した死因情報が非開示になっていること、などを次々に明かしていく。

 まさに「死」からあとは江戸時代という意味がわかってくる。

 本書は犯罪が見のがされている恐れが強いことを訴えているが、その具体例も新聞報道を引用しつつ説いている。先進諸外国と比べても、日本は「死後」は後進性が強いともわかる。日本の死因統計は信用できない-千葉県では七割の司法解剖医はそう答えているという。ページを閉じたあとに、この社会は「死」を愚弄(ぐろう)しているのではとの思いに駆られる。

評・保阪正康(ノンフィクション作家)

  1. 2007/11/27(火) 22:02:28|
  2. 検視・司法解剖問題

プロフィール

柳原三佳

Author:柳原三佳
<ジャーナリスト・ノンフィクション作家>
交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演活動を行う。「週刊朝日」などに連載した告発ルポをきっかけに自賠責制度の大改定につながったことも。2004年からは死因究明問題の取材にも力を入れ、犯罪捜査の根幹に一石を投じてきた。著書に「家族のもとへ、あなたを帰す ~東日本大震災 歯科医師たちの身元究明」「遺品~あなたを失った代わりに」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」「交通事故被害者は二度泣かされる」「自動車保険の落とし穴」「死因究明~葬られた真実」「焼かれる前に語れ」「交通事故鑑定人」「示談交渉人裏ファイル」「裁判官を信じるな」など多数。」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」は、NHKでドキュメンタリードラマ化された。「実父を医療過誤で亡くし、自らも医療過誤被害を受けた経験があり、現在は医療問題にも精力的に取り組んでいる。千葉県在住。自宅の裏庭に、「古民家(長屋門)」を移築し、スローライフも楽しんでいる。
■柳原三佳のHP http://www.mika-y.com/

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