柳原三佳のブログ

交通事故・死因究明問題などを追及する柳原三佳からの情報発信。あるときはジャーナリスト、あるときはノンフィクション作家、でも、1日の大半はお料理と芝刈りが大好きな「主婦」してま~す!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

普通の人の「戦死」を追って

「カズナリさん、帰ってきてよかったね~~」
 娘と胸をなでおろしました。
 えっ、カズナリさんって、誰?? 
 そうです、NHKの朝ドラを見ている人ならわかりますよね!
 このドラマを見ながら、私のおじさんは帰らぬ人だったことを、あらためて思いました。
 
 そういえば、私が30歳の頃、こんな記事が朝日新聞で紹介されたことがあります。
 このとき、朝鮮半島で撮られたという1枚の写真が掲載されたのですが、記事が出た後、その写真に叔父と一緒に写っていた兵隊さんの遺族から、お手紙が来たという信じられない出会いがありました。
 戦争から半世紀が経ち、1枚の写真が二人の遺族を結び付けてくれる……。
 遺族の思いというのは、何年経っても変わらないのだということが、胸にじんと伝わってきました。


■普通の人の「戦死」を追って 50回忌、伯父の記録を小冊子に  

 戦争で多くの人が亡くなってから約五十年。これを機に体験を本にまとめたり、慰霊碑や文集を作ったりする戦争体験者、遺族も少なくない。千葉県大網白里町のフリーライター柳原三佳さん(三〇)は、「戦死」した伯父の五十回忌に、彼の記録をまとめた小冊子を作った。ごく普通の人がどう戦争に駆り出され、どう死んでいったのか。「戦後世代にとっては驚くことばかり」という。
  
 柳原さんがまとめたのは、兵庫県出身の母親の一番上の兄、佐野徹夫さんの出征後の記録。戦争に行って死んだ、ということしか知らない伯父だった。
 徹夫さんは一九四四年(昭和十九年)一月に二十一歳で出征した。その年の一月二十日消印で同じ兵庫県内に無事入隊したことを知らせるはがきから、その年の七月二十四日消印までのはがき六通と封書一通が残っていた。途中で差し出し地が朝鮮半島の大邱に変わり、封書には写真が同封されていた。どれにも検閲の印が残っている。
 はがきの文面では、場所も生活ぶりも分からない。徹夫さんの弟たちが戦記などで調べた結果、朝鮮半島を出た徹夫さんの部隊は下関、台湾を経て四四年十二月、フィリピン・ルソン島に上陸。砂浜に整列したところを爆撃され、食料や武器を満載した輸送船もその場で撃沈された。部隊はほとんどゲリラ以下の装備で戦いながら山の中に入り、四百五十人がほぼ全滅した。徹夫さんは、その少し前にマラリアで野戦病院に収容され、そこで死んだらしい。
 家族が戦死を知ったのは終戦から九カ月以上もたった四六年五月末。びんせんを縦半分にした程度の薄い死亡告知書によってだった。陸軍上等兵佐野徹夫は「比島呂宋島山岳州方面ニ於テ戦病死セラレ候條此段通知候也」と書かれている。死亡の日付は昭和二十年七月二日。
 「みんなが少しずつ断片を積み重ねてやっとこれだけわかった。でも、本当にマラリアだったのか、そこで死んだのか」と柳原さん。「遺骨も遺品もなし。当時の家族はたった一片の通知で納得せざるを得なかったのか」とショックを受けたという。
 独身だった徹夫さんには、どんな人だったか語り伝える子孫もいない。「伯父は同じような何万人もの中の一人。同じようなことがあったはずだが、掘り起こされないまま忘れられようとしているのではないか。たった五十年前のことなのに」と柳原さんは話している。
  
 【写真説明】
 佐野さんから届いたはがきや死亡告知書
 戦地から送られてきた最後の写真。左が佐野徹夫さん。昭和19年2月11日に大邱で、と書かれていた


1994年6月29日 朝日新聞朝刊
  1. 2011/07/07(木) 01:09:02|
  2. ミカの日記

プロフィール

柳原三佳

Author:柳原三佳
<ジャーナリスト・ノンフィクション作家>
交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演活動を行う。「週刊朝日」などに連載した告発ルポをきっかけに自賠責制度の大改定につながったことも。2004年からは死因究明問題の取材にも力を入れ、犯罪捜査の根幹に一石を投じてきた。著書に「家族のもとへ、あなたを帰す ~東日本大震災 歯科医師たちの身元究明」「遺品~あなたを失った代わりに」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」「交通事故被害者は二度泣かされる」「自動車保険の落とし穴」「死因究明~葬られた真実」「焼かれる前に語れ」「交通事故鑑定人」「示談交渉人裏ファイル」「裁判官を信じるな」など多数。」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」は、NHKでドキュメンタリードラマ化された。「実父を医療過誤で亡くし、自らも医療過誤被害を受けた経験があり、現在は医療問題にも精力的に取り組んでいる。千葉県在住。自宅の裏庭に、「古民家(長屋門)」を移築し、スローライフも楽しんでいる。
■柳原三佳のHP http://www.mika-y.com/

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。