柳原三佳のブログ

交通事故・死因究明問題などを追及する柳原三佳からの情報発信。あるときはジャーナリスト、あるときはノンフィクション作家、でも、1日の大半はお料理と芝刈りが大好きな「主婦」してま~す!

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ジャーナリスト・寺澤有さんが『遺品』の書評を書いてくださいました!

 警察問題などの追求で著名なジャーナリスト・寺澤有さんが、『遺品~あなたを失った代わりに』を読んで、早速、書評を書いてくださいました。
http://www.incidents.jp/news/
 同じノンフィクションの世界で仕事をするジャーナリストならではの視点が、優しくって、新鮮です!
 ぜひ読んでみてください。 
 

■「遺品」に込められた「逝ってしまった人」と「遺された人」の思い 

    寺澤有(ジャーナリスト)

 事件や事故の発生時だけではなく、その後も長期間、取材を続け、真相を明らかにするというのは大変な作業だ。しかも、これが結実しても、商売になるかどうかはわからない。むしろ経費が原稿料や印税の数倍かかることもままある。だから、ノンフィクションやルポルタージュの書き手は極端に少ない。

 「フリーのジャーナリストとして執筆活動を始めてから二十年あまり、私は、全国各地で発生する事件や事故を取材し、ルポルタージュを書き続け、遺された人たちの筆舌に尽くしがたい悲しみや苦しみを目の当たりにしてきました」と「あとがき」に記された柳原三佳さんの単行本『遺品 あなたを失った代わりに』(晶文社)が書店の新刊コーナーに並んでいる。

 柳原さんと筆者は年も近く、お互いクルマやバイクが好き、警察や検察、裁判所が取材対象という共通点があり、10数年前から親しくしている。いつもは辛口な文章でならす柳原さんだが、本書は初のエッセイ集。これを上梓するに至る気持ちは、「あとがき」につづられている。

 《理不尽な出来事によって、大切な人との日常生活を突然断ち切られるというあまりにも過酷な現実。それでも世の中の不条理に立ち向かい、懸命に闘っている人々の姿を追いながら、数えきれないくらいの涙を見てきました》

 《私はいつか、ルポルタージュの中では書けなかった、たくさんの「心の中の宝物」の物語を書きとめておきたいと思うようになりました》

 《逝ってしまった人はもうこの世にはいないけれど、彼らはずっと愛する人の心の中で生き続け、いつもメッセージを発信しているのだということを、遺された人たちが大切にしている「遺品」を通して描きたいと考えたのです》

 「遺品」といっても、日常的なものが多い。本書には18のエッセイがおさめられており、その1つ1つに、ある遺族が「遺品」とするものがタイトルとしてつけられている。「餃子」「洗濯物」「吸殻」……という目次だけ見ると、拍子抜けするかもしれない。しかし、それらの「遺品」にこめられた「逝ってしまった人」と「遺された人」の思いは深い。涙腺が弱い人は、ティッシュを用意してから読みはじめたほうがいい。

 とはいえ、やはり柳原さんならではのジャーナリスティックな文章も登場する。「最後の写真」というタイトルのエッセイの冒頭を引用する。

~~~~~~~~~~

 二〇〇九年三月二十六日、午後一時十五分。東京高裁五一一号法廷。

 この日、この場所で目にした光景を、私は一生忘れることができないだろう。

 「主文。本件控訴を棄却する。控訴費用は原告の負担とする」

 裁判長による判決文の読み上げは、傍聴人も唖然とするほど、まさに一瞬のうちに終わっていた。

 静まり返った法廷に、重い緊張感がよどんでいる。

 そのとき、原告席に座っていたマサカズさんが突然立ち上がり、

 「あなた方はどういう判断をしたんですか、恥を知りなさい。罪を犯した警察官をかばって、司法を市民から遠ざけている。あなたたちは犯罪者だ!」

 大声でそう叫んだかと思うと、裁判官をにらみつけながら、胸ポケットから取り出した数珠を、裁判官に向かって思い切り投げつけたのだ。

 真ん中に座っていた裁判長は慌てて後ろにのけぞったが、数珠は、裁判長の左の眉のあたりをかすめ、さらに後方へ落下した。が、それだけではおさまらなかった。マサカズさんは、今度は自分の革靴を脱ぎ、再び裁判官に向かって投げつけたのだ。それは、不規則に回転しながら書記官の頭上を越え、裁判長の左横を飛んで行った。

 その瞬間、法廷に凍りついたような空気が流れた。数珠に続いて靴まで投げつけられた裁判長の髪は乱れ、顔はひきつっている。

~~~~~~~~~~

 続きは、ぜひ本書で確認していただきたい。
  1. 2011/08/31(水) 17:13:40|
  2. ミカの日記

プロフィール

柳原三佳

Author:柳原三佳
<ジャーナリスト・ノンフィクション作家>
交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演活動を行う。「週刊朝日」などに連載した告発ルポをきっかけに自賠責制度の大改定につながったことも。2004年からは死因究明問題の取材にも力を入れ、犯罪捜査の根幹に一石を投じてきた。著書に「家族のもとへ、あなたを帰す ~東日本大震災 歯科医師たちの身元究明」「遺品~あなたを失った代わりに」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」「交通事故被害者は二度泣かされる」「自動車保険の落とし穴」「死因究明~葬られた真実」「焼かれる前に語れ」「交通事故鑑定人」「示談交渉人裏ファイル」「裁判官を信じるな」など多数。」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」は、NHKでドキュメンタリードラマ化された。「実父を医療過誤で亡くし、自らも医療過誤被害を受けた経験があり、現在は医療問題にも精力的に取り組んでいる。千葉県在住。自宅の裏庭に、「古民家(長屋門)」を移築し、スローライフも楽しんでいる。
■柳原三佳のHP http://www.mika-y.com/

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