亀岡の無免許事件、さまざまな報道が流れています。
現場となった道路は、危険な道として指摘されていたそうですが、それだけに残念でなりません。
しかし、いくら児童に交通ルールを守るように指導しても、保護者が誘導しても、黄色い帽子をかぶっても、今回のようなドライバーに後ろから突っ込まれたら、不可抗力です。
もちろん、歩道と車道の間に高く頑丈な塀を設置すれば防げたかもしれない、その時間、車を通行止めにすれば防げたかもしれない、でも、全国各地の通学路を見てください、すべての通学路で歩車分離を徹底するのは、現状では不可能なのです。
私も子供を育てながらずっと不安でした。
今もですが、毎日不安でたまりません。
どれだけ「気を付けてね」と声をかけても、悪質な運転者が娘をめがけて突っ込んで来たら、どうすることもできないからです。
ハンドルを握る人に、ルールを守って運転してもらうしかありません。
そして、私自身も、弱者を守る運転をしなければと自分に言い聞かせる毎日です。
私は思います。
強い乗り物に乗るときは、それより弱いものを守らなければならない。
集団登校の子供たちの横を車やバイクで走るときは、最徐行が常識。
弱者への思いやりを失ったら、弱者はどうなるのか、
そのことに思いを至らせられるよう、しっかりと教育しなければならない。
なぜ、18歳の若者が、無免許でハンドルを握ったのか。
この人物は、これまでにどんな交通教育を受けてきたのか?
日本の交通教育にどこか欠落している部分はなかったか?
少年事件だからと言って、そこをうやむやにしてはいけないと思います。
交通事故のご遺族である、東京の佐藤清志さんからいただいたメールを、ご本人の許可を得て転記させていただきます。
大変貴重な情報と問題提起だと思います。
もし、自分が、自分の家族が被害に遭ったら。
もし、自分が、そして自分の家族が加害者の立場になったら。
今後、こうした事件が二度と繰り返されないためにも、一緒に考えていただければ幸いです。
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東京の佐藤です。
NHKの15時台の報道を紹介します。
後半部分では「“現場は危険な場所”」というタイトルがつけられ、教育の場からのこれまでの取り組み経緯が説明されています。
これについて、記事の後で。
・ 登校中に車 小学生と妊婦が死亡
23日朝、京都府亀岡市で登校中の小学生の列に軽自動車が突っ込んで10人がけがをした事故で、意識不明の重体になっていた小学校2年生の女の子と26歳の女性の2人の死亡が確認されました。
女性は妊娠中でお腹の赤ちゃんも助かりませんでした。
このほか小学生2人が意識不明の重体です。
23日午前8時前、亀岡市篠町の府道で、安詳小学校の児童らが集団登校する列に軽自動車が突っ込みました。
この事故で、小学校1年生から5年生の女の子8人と男の子1人、それに保護者1人の合わせて10人がはねられてけがをしました。
警察によりますと、このうち、意識不明の重体だった2年生の小谷真緒さん(7)と別の児童の保護者の松村幸姫さん(26)の2人の死亡が確認されました。
松村さんは妊娠7か月くらいでしたが、お腹の赤ちゃんも助かりませんでした。
また、3年生の横山奈緒さん(8)と1年生の西田琉輝くん(6)が、依然、意識不明の重体で、このほか4人が重傷だということです。
この事故で、警察は軽自動車を運転していた亀岡市の18歳の少年を逮捕して自動車運転過失致死傷の疑いで調べています。
少年は無免許運転で、調べに対して、「子どもたちに当たったのは間違いないです」と話しているということです。
警察によりますと、現場の道路は幅6メートルほどの緩やかなカーブで、当時は登校の時間帯のため西向きの一方通行になっていて、車は子どもたちが西向きに歩いている後ろから突っ込んだということです。
車には、逮捕された少年のほか2人の少年が乗っていて、少年らは「同級生の仲間で一晩中、ドライブしていた」と話しているということで、警察が事故の詳しい状況を調べています。
“現場は危険な場所”
事故が起きたこと受けて、亀岡市教育委員会は学校の関係者とともに会見を開きました。
この中で、安詳小学校の東佳明教頭は事故のあった道路について、「道路が狭くて危険だという話があったので、平成19年ごろに道路の側溝を埋める工事をして、通学路と分かるような黄色い印を道路に付け、歩きやすくなるようにした」と述べました。
そのうえで、東教頭は「保護者からは最近、登下校のルートを変更するよう要望はなかったが、交通量も多く危険だという認識はあり、児童には交通ルールを守るよう指導していた。登下校のルートについては、今後、検討していきたい」と話しました。
また、亀岡市教育委員会は京都府教育委員会に対して、スクールカウンセラーの派遣の要請を行い、今後、子どもたちの心のケアを行うということです。
NHKニュース 4月23日 15時8分 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120423/t10014645711000.html
亀岡市では、現場付近が「狭くて危険」ということで、
平成19年ごろより「側溝を埋め」「通学路と認識できるよう、カラー舗装」をして、歩きやすくした
また、「通学時間帯の一方通行化」もこれと同じくして行われたと思われます。
この時期は、最初の方のメールでご紹介した「亀岡市セーフティコミュニティ」のHP上を見ると、その動きとほぼ同じ時で、
同じく平成19年にはシンポジウムも開催されていたようです。
(「平成19年度セーフコミュニティシンポジウムの結果概要」 http://www.pref.kyoto.jp/safecom/1201250866530.html)
また承認後も定期的に季刊誌も発行し、住民にきめ細かく発信していたように見て取れます。
(「京都府セーフコミュニティニュース 地域力による安心・安全なまちづくりを目指して」 http://www.pref.kyoto.jp/safecom/1234239901841.html)
4月20日号というのだから、つい最近出された最新号を見ると、
世の中の流れと同じように「自転車教育」に力を入れていたことが見て取れます。
(「セーフコミュニティニュース18号(2012年4月20日発行)」 http://www.pref.kyoto.jp/safecom/resources/1334727288960.pdf)
また、震災直後の「14号(2011年3月28日発行)」 http://www.pref.kyoto.jp/safecom/resources/1301293508495.pdf には、
第9次交通安全基本計画にもならって、パブコメ募集なども行われていました。
要は、対策、活動、啓発といった多くの事柄を行なっていた、非常に優れた行動を起こしていた地域ではありましたが、肝心な強者(クルマを筆頭に速度の早い者順)に対する、弱者(より低速の者、守れれるべき者)への責任・心構え・配慮、そしてリスクといった一番重要なところが欠けてしまっていました。
これは、何も無謀な運転者でけでなく、クルマなどを動かす全ての者(ドライバー)、そして大人に向けられるべきことでした。
自転車に対しては、歩行者を脅かすと加害者意識を植え付けさせるのに、さらに脅威のクルマに対して(ドライバーである自分自身たち)に対して、目が向かないのでしょうか。
現場の道路幅は6.5メートルということで、「ゾーン30」の対象とされる生活道路の「5.5メートル未満」に含まれないところかもしれませんが、子供が通学に通う、高齢者が散歩する、そして住宅に面している正真正銘の「生活道路」であるべき「みち」です。
さきほど夕方の報道番組でコメンテーターが
「時間で一方通行にはしているが、どうして通学の1時間だけでも通行止にできないのか」
と、「たら・れば」の言葉を述べていましたが、どうみても通行止にする道路ではないように見えます。
こういった道路では「シェアード・スペース(共有空間)」の考え方が重要なものと考えます。
(とりあえず、シェアード・スペースに関してこちらをご紹介:http://www.elfferding.de/report/sharedspace.html)
ただこのシェアード・スペースも、実はすでに京都市で試みられていたはずなのに・・・、というのが残念なところでもあります。
http://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/2011data/1110/1110Shared_Space_kyoto_city.pdf
しかしコメンテーターも、思いつきだけで発言して欲しくはないものです。
(以上引用終わり)
- 2012/04/23(月) 19:02:17|
- ミカの日記
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