柳原三佳のブログ

交通事故・死因究明問題などを追及する柳原三佳からの情報発信。あるときはジャーナリスト、あるときはノンフィクション作家、でも、1日の大半はお料理と芝刈りが大好きな「主婦」してま~す!

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交通事故で息子さんを亡くされた元警察官からのメッセージ

 今日は、仙台の佐々木さんからいただいたメールをご紹介します。
 佐々木さんは、元警察官です。
 一昨年、息子さんを交通事故で亡くされました。
 今年の1月にインターネットライブ放送でインタビューさせていただきましたので、あわせてご覧ください。

柳原三佳 さま

ご無沙汰しております。
4月に入って進入学シーズンを迎え、春の季節をうきうきして過ごしていたところ、
京都では重大交通死亡事故がたて続けに発生し、どうして?一体何がおこってるんだろう?といった悲しい疑問の答え探しながら生活しております。
お怪我をされた方の一日も早い回復と、お亡くなられた方のご冥福を祈るばかりです。


さて、柳原さん
交通社会では一体、どうして何がおこっているんでしょうかね?
このままでは法律の新設や改正のきっかけとなった、多くの尊い命の犠牲は無駄に終わってしまう気がしてなりません。
警察官が行う交通事故捜査というものは、個々に発生した交通事故を処理すること、極論すれば被疑者を検挙すること、ただそれのみを目的として行われます。被疑者検挙によって被害者は救済済みという考え方です。


決して被害者遺族の救済や、将来にわたって同種交通事故の撲滅を目的とした交通事故処理というものは存在しないのです。
過去の事例が交通事故防止に活かされない理由の一つだと思います。
警察捜査にとって、過去の事例は、同種事件が発生した時の処理方法の雛形にすぎないのです。
検察官も検察の目的とするところは、単に有罪を勝ち取ること、という検察官のコメントを拝見したことがありますが、警察、検察といった捜査機関には、犯罪の未然防止に寄与する活動、は補助的事務になっているように感じます。


私も現職中は数多くの死亡事故を経験しましたが、犯罪事件・事故処理をする警察官(捜査官)にとっては、死亡事故(死者・負傷者)・事件が何件発生しても全く動揺しませんでした。それは被疑者(犯人)さえ分かっていれば、後は粛々と事務処理をしていけば事件は終息し、自分の責任は果たせるからです。むしろ、コンビニ駐車場内での軽微は接触あて逃げ事故のように物損被害も僅かで死傷者もいない事故なのに、犯人が分からない事故(犯人を捜さなくてはいけない事件事故)は、警察官の神経を一気に蝕み、一人の警察官が3~4件程度、そのような犯人の分からない事故を担当したなら、被害者との折衝などに追われノイローゼになるほどなのです。一般殺人事件も同じです。警察にとっては犯人検挙こそがテーマですから、犯人さえ検挙できていれば、その事件は終息し将来には活かされないのです。


 その意味では、京都の2件の重大事故は1件は被疑者死亡での送致となるし、2件目も少年と同乗者の逮捕してますので、あとは事務処理を残すだけで、同種事故をいかにして防止するか、といった問題は対外的、補助的に議論する形態を辿ってしまうのです。
 この京都の事件や過去の悲惨な事故を他山の石として、将来にわたって事故防止を考えるのは、柳原さんをはじめとする多くのジャーナリストの力によるものだと思います。
遺族の会の中で「一歩外に出れば、安全は運転手の意識に委ねられている」というコメントをお聞きしたことがあります。本当にその通りだと思います。
 もっともっと、幼少期からの安全教育、という分野に力を入れ取り組まなければ、警察の取締りという実力行為(現在の取締り基準・方法論的にも)や信号機、横断歩道の設置をいったハード面で解決できる問題ではないと思います。


 どんなに立派な信号機を設置して、一時停止の標識を設置しても運転手が守らなければ、規制の意味などなんの効力はありません。東日本大震災を経験して分かりましたが、この場に及んで事故など起こしていられない、みんなが安全に愛する人が待つ所へ帰らなければならないんだ、という良心が育つと、信号機など滅灯してても安全は保たれておりました。
 震災という大きな犠牲を経て生まれた運転手の良心というものが大きな力になっていたと思います。同様に過去の交通事故によって奪われた命の犠牲から学ぶべきは、やはり運転手の良心であり、強い者が弱い者を保護する、という当然の道徳の醸成だと思います。


 先日、機会があって運転免許センターで行われている交通安全教育というものを拝見しました。かつての同僚だった警察官OBが第二の職場として交通安全協会で講師として講習をしておりました。
 講習内容は、子供と高齢者に多い事故形態、自転車に多い事故形態、右左折交差点で多い事故形態などの説明で、二人の交通死亡事故遺族の方が執筆している手記については、これをいちいち全部読み上げると時間がいくらあっても足りませんので自宅で時間があったら読んでください、と割愛されていました。


 しかし、本当はこの遺族の方が書いた手記の中にこそ、自動車を運転する以上は弱者を保護しなければならないんだ、という交通安全教育の本質・良心が凝縮されていました。
違反点数制度とか行政処分と刑事処分、飲酒、ひき逃げすると厳罰になる、といったことを講習で多くの時間を費やしているのは、いかにも警察官OBの考え方、講習の進め方だと感じました。
交通安全教育にはまず、講師の選定作業から取り組まないといけないという感想をもって帰ってきました。
 全国で交通安全講和を繰り広げていらっしゃる被害者遺族の方々の取り組みは、地道にでも確実に安全教育の本質を伝えて、交通事故の未然防止に役立っています。
 教材も交通安全協会の教本よりも、柳原さんの著書『遺品 あなたを失ったかわり』に、が適しています。本当にそう感じました。


あまりにも理不尽な京都の交通事故を目の当たりにして
つい柳原さんに愚痴をこぼしたメールになってしまいました。すみませんでした。
今後も柳原さんのご活躍に期待しております。

佐々木 尋貴


  1. 2012/04/24(火) 16:25:07|
  2. ミカの日記

プロフィール

柳原三佳

Author:柳原三佳
<ジャーナリスト・ノンフィクション作家>
交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演活動を行う。「週刊朝日」などに連載した告発ルポをきっかけに自賠責制度の大改定につながったことも。2004年からは死因究明問題の取材にも力を入れ、犯罪捜査の根幹に一石を投じてきた。著書に「家族のもとへ、あなたを帰す ~東日本大震災 歯科医師たちの身元究明」「遺品~あなたを失った代わりに」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」「交通事故被害者は二度泣かされる」「自動車保険の落とし穴」「死因究明~葬られた真実」「焼かれる前に語れ」「交通事故鑑定人」「示談交渉人裏ファイル」「裁判官を信じるな」など多数。」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」は、NHKでドキュメンタリードラマ化された。「実父を医療過誤で亡くし、自らも医療過誤被害を受けた経験があり、現在は医療問題にも精力的に取り組んでいる。千葉県在住。自宅の裏庭に、「古民家(長屋門)」を移築し、スローライフも楽しんでいる。
■柳原三佳のHP http://www.mika-y.com/

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