柳原三佳のブログ

交通事故・死因究明問題などを追及する柳原三佳からの情報発信。あるときはジャーナリスト、あるときはノンフィクション作家、でも、1日の大半はお料理と芝刈りが大好きな「主婦」してま~す!

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名古屋ひき逃げ死亡事件・ご遺族の手記(その3)

 
昨日、5月15日の、秤谷(はかりや)さんの手記の続きをアップします。
●秤谷さんのブログ

 初めて読まれる方は、14日のブログからお読みください。

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私たちはYouTubeで、息子さんを悪質事故で亡くされた眞野さんを見つけ、眞野さんが活動されている姿を毎日励みにしてきました。
 眞野さんも頑張っている、私達も頑張ろう、でも、どうしたら眞野さんと連絡が取れるのか? 毎日、毎日、懸命に探しました。

 パソコンの苦手な私がまずやってみたのは、Twitterでした。次は、Facebook、次はブログを作りました。
 実名で。 秤谷幸恵で。
 とにかく、わかって欲しい。父の死を無駄にしたくないと、必死に作りました。
 私と主人は、人間不信と落ち込みの中で鬱症状が現れ、眠れない日々が続いていました。

 8月17日には愛知県警の南警察に行ってきました。
 理由は、立て看板を立ててほしいという依頼です。
 警察はドライブレコーダーがあるからと、立て看板も立てず、処分保留で加害者を釈放したので、私たちの怒りは収まらなかったのです。
 にもかかわらず、交通課の担当は主人を逆なでする言葉ばかりを並べました。頭に来た私は、
「今日中に立て看板が立てられなかったら、上級省庁に告発する」
 と詰め寄ったところ、やっと看板が立ちました。8月18日のことです。

 でも、私達は看板を見て、愕然としました。
 確かに、看板は立っていましたが、ひき逃げ死亡事故ではなく、ただの交通事故になっていたのです。
 怒りはまた込み上げ、南警察に電話をしました。
 ひき逃げによる交通死亡事故であることがわかるよう、書き直してほしいと、検察庁にも電話をして言いました。

 過去に担当副検事は、「泥酔状態の酔っ払いが道路で寝とった、と言われたら、加害者は無罪」と言ったくらいなので、適当にあしらわれていたのでしょう。
 あまりにも、わかりやすい態度でした。
 たしかに父はお酒を飲んでふらついたかもしれません。
 しかし、人を轢いたら、その場で止まって救護するのがドライバーの義務ではないでしょうか。
 ところが、加害者の処分は信じられないものとなりました。

 ある日突然、検察庁から連絡があり、
「自動車運転過失致死は略式にします。道路交通法違反、つまり轢き逃げは不起訴にします」
 と言われたのです。

 納得できなかった私たちは、11月15日、弁護士さん、父と一緒にいた目撃者と共に検察庁に出向きました。
 副検事は今まで、「泥酔状態の酔っ払いが道路で寝とった」と言い続けていましたが、急に言葉を変え「お酒を召されていたみたいですので」と言いました。

 しかし、たとえ父がお酒を飲んでいたとしても、検事に責められる理由はわかりませんでした。父はひき逃げ事故の被害者なのです。検察は、被害者の味方でなければいけないのでは?
 とにかくこの日は、副検事が加害者の弁護人?と感じるほどでした。

 こちらの言い分は、上申書にも書いたように、現場は見通しの良い直線道路であった、事故現場は、夜とはいえ、明るさは十分でしたし、事故の瞬間は加害車両の後ろのタクシーのドライブレコーダーでも確認出来ました。 この画像をしっかり解析すれば、衝突時の衝撃や加害車の速度もはじき出せるはずです。

 ところが副検事は、
「加害者は普通の大人しそうなサラリーマンです。裁判官の前で泣きながら、『本当に人だと思わなかったんです』といえば、裁判官は信用するでしょうね」
 と言うのです。挙げ句の果てには、
「僕にも上司がいますので、上司がハンコをついてくれないんですよね」
 とまで。

 私たちの弁護人が、
「では、上司宛に上申書を内容証明で出します」
 と言ったところ、急に慌てふためき、
「いえいえ、私の責任で」
 と言い出しました。

 その後、私たちのところに、書類が届きました。
 内容は自動車運転過失致死が略式30万で終わったこと、轢き逃げが不起訴になったこと。

 私達はこの出来事にどうしても納得できず、12月に地方検察庁宛に内容証明を送りました。
内容は、まるで加害者の弁護人の様な検察の態度が気に入らないこと、担当副検事を変えて欲しいこと、再捜査して欲しいこと……、などです。
 そして、12月22日に新しい検事から連絡がありました。
 内容は、「私が事件を見直します」とのこと。
 12月25日、直接会いに行きました、今度は正検事でした。
 この方には、私達の思いを告げ、簡単には信用出来ないことも告げましたが、事故現場を封鎖して目撃者立会いでの実況見分をやったり、近所の聞き込みをしたり、自宅で音を聞いた方の自宅に行って証拠化をし、その方の自宅までの寸法を測ってくれたりしました。
 本当によくやってくれたとは思います。

 年が明け、1月11日には検察審査会に申し立てに行きました。
 そして、1月25日付けで「再起」となりました。
「再起」とは、不起訴処分を取り消し、再捜査をおこなうということで、とても珍しいことだそうです。
 ところが、3月に入り、検事からの電話でまた奈落の底まで突き落とされました。
 ひき逃げについてはまた不起訴、だというのです。
 私は、前の副検事のずさんな捜査を隠す為、誤魔化すために正検事が出てきたのですか?と、泣きながら訴えました。
 すると検事も少し涙を浮かべ、「秤谷さんがあんまり泣くから、僕まで涙が」と言い、言葉に詰まっていました。
 衝突の衝撃は、地震に例えると震度6強から7であったこと、また、音を聞いた方の自宅まで20m以上あることなど、検察審査会に書面で提出すると約束してくれました。この検事は最後までよくしてくれました。

 その後、不起訴処分に納得が行かない私たちは、地検、高検、最高検まで、内容証明を送りました。初動捜査がずさんだったので、とにかく再捜査してほしいと書き綴りました。
 4月9日に、不服申し立てを受理しましたという手紙が高検から届きました。
 私は、次の日に朝一番で、高検に電話をして、受理した後、どうするのか? きちんと、話をして下さいと詰め寄りました。夕方までお待ち下さいと言われ、約束通り連絡を貰いました。
副検事については、地検で対応する。不起訴処分については高検で対応するが、どの様な対応になるかは、まだ、具体的に決まっていないとのことでした。
 そして、4月27日、私たちの弁護人宛に検察審査会の議決が届きました。議決内容は「不起訴不当」というものでした。
 この結果には満足していますが、「不起訴不当」の議決が得られたと言って、必ず起訴されるとは限りません。私たちも気を抜かず、証拠集めや署名活動に力を入れていきたいと思います。


●眞野さんとの出会い

 検事の対応の悪さに苦しめられていた私達は、事故が起きてから12月まで、眞野さんを捜し続けていました。
 私達は同じ気持ちで、戦っている眞野さんにどうしても連絡がとりたかった、聞いて欲しかったのです。
 ある日、友人からの電話で、「幸恵さん、佐藤ゆうこさんのブログを見てください」と言われ、Twitterでの眞野さんの名前がわかり、時間も考えず、即座にmailを飛ばしました。
 眞野さんは夜中なのに、すぐに連絡先を教えてくれました。
 そして、すぐに、会いに来てくれたのです。

 眞野さんにどれだけ支えてもらったか、私達にとって、どれほど大きな支えになったかわかりません。
 私達も眞野さんに連絡が取れるまで、かなりの時間を費やしたことなどから、次の被害者遺族の方も同じ思いをされるであろうことは想像がつきます。
私達はたまたま、気が強く粘り強かったから良かったですが、途中で諦めていたらと思うと、ゾッとします。
こうした体験から、私たちで良ければ、次の被害者の遺族の為に何か出来ないか? と考え、三佳さんにも、mailしています。

 私の携帯番号は、080(5113)0226です。
 署名活動も行っていますので、ぜひお力添えいただければ幸いです。
 交通事故の被害者はそれぞれに孤独ですが、みなで力を合わせて、理不尽と闘っていきましょう
  1. 2013/05/14(火) 10:51:02|
  2. ミカの日記

プロフィール

柳原三佳

Author:柳原三佳
<ジャーナリスト・ノンフィクション作家>
交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演活動を行う。「週刊朝日」などに連載した告発ルポをきっかけに自賠責制度の大改定につながったことも。2004年からは死因究明問題の取材にも力を入れ、犯罪捜査の根幹に一石を投じてきた。著書に「家族のもとへ、あなたを帰す ~東日本大震災 歯科医師たちの身元究明」「遺品~あなたを失った代わりに」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」「交通事故被害者は二度泣かされる」「自動車保険の落とし穴」「死因究明~葬られた真実」「焼かれる前に語れ」「交通事故鑑定人」「示談交渉人裏ファイル」「裁判官を信じるな」など多数。」「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」は、NHKでドキュメンタリードラマ化された。「実父を医療過誤で亡くし、自らも医療過誤被害を受けた経験があり、現在は医療問題にも精力的に取り組んでいる。千葉県在住。自宅の裏庭に、「古民家(長屋門)」を移築し、スローライフも楽しんでいる。
■柳原三佳のHP http://www.mika-y.com/

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